実家での3日間、とにかく断捨離に明け暮れた。
成人式の写真、好きなブランドのショップバッグ、仏像を彫るために揃えた錆びゆく小刀など、実家というものはいちいちエモい。ちなみに今、生まれて初めて『エモい』って言葉を使った。(どう、合ってる?)
ふと、あまりエモくない紙袋に無造作に突っ込まれた荷物から、「Henro」と書かれた小さなノートを見つけた。これは2016年の春、わたしが四国遍路をしたときにつけていた記録である。毎日の歩行距離と宿泊場所、ちょっとしたコメントが書き添えてあった。
「今日もマルナカが見つかって良かった」
「背中は思った通りのポジションに湿布を貼れないのでもどかしい」
「くつ下、穴が広がり仕方なく捨てる」
心底どうでもいい独り言(白目)。こんな調子でつらつら書いてある。とはいえ、歩行距離は少ない日でも23Kmほど、連日40Km以上歩いてることもあった。過去の自分は何かを埋めるように、修行のようなことばかりしている。
そして何を思ったかこのノート、ゴールした5月12日のことを何も書いておらず、前日までで終わっていた。
5月11日(水)
83番 一宮寺→ 86番 志度寺まで
持参した豆ごはんおにぎりを食べて至福のとき。下りのアスファルトの連続に閉口す。多分明日でラスト。
ここでノートは終わり。想像しなかったラストに3年後のわたしが驚愕。エモさのかけらもない、相変わらずわけがわからない女だ。
来年、再び四国遍路にチャレンジする予定でいる。今度は、最終日のこともきちんと書き留めると誓う。
※マルナカ…四国を中心に展開するスーパーマーケット。イートインスペースがあるため遍路中はかなり休憩に利用した。