ふりかけ / by co cayu

「病院食も飽きるだろうと思って」。入院以来、友人たちが次々にふりかけを送ってくれるようになった。よく見かけるふりかけ、見たこともないふりかけ、ふりかけと混ぜごはんのあいだ、みたいなふりかけ。各地から集まったふりかけはみな素晴らしく、個性に溢れ、情緒があった。10号室におけるふりかけの繁栄を例えるなら、まるでかつての唐の都・長安のような豊かさである。天からの祝福を受けたふりかけたちが甘露の雨となって白米の上にーいや、何を言っているか分からなくなってきた。すみません。

2018年度のふりかけ市場を見ると、丸美屋の圧倒的勝利であった。やはり『のりたま』は強い。そして丸美屋は混ぜ込みシリーズを持っている。ターゲット層が広く、アニメのキャラクターとのコラボにも抵抗がないわりに、飲食業界と見境なくコラボするようなことはしない丸美屋は、どことなく交友関係が広くて世話好きだけど、浮気をされようもんなら喧嘩のたびにネチネチ蒸し返す杉並区の女、みたいな印象がある。

そんな丸美屋を追いかけるのが『ゆかり』の三島食品。三姉妹の長女として『あかり』『かおり』を養いながら、一家の経済を支えてきた。三島食品というより、もはやゆかりである。サバサバしているように見られがちだけど結婚願望が強い、義理の両親との同居も耐えうる広島の女、みたいな強さを感じる。

それに続く永谷園。永谷園はブレないアダルト感に定評がある。事実、永谷園の売り上げを支えるのは『大人のふりかけ』シリーズだ。金曜の夜のデートでまんざらでもなさそうなのに23:30になると「わたし帰るね」って言い出しマジで帰る港区の女。余韻を残すのがうまいので追いかけちゃう、それが永谷園。泡ばっかり飲むんじゃないよ。

これはあくまでも個人的な印象を企業の本拠地にくっつけて女性に例えたイメージで、杉並区の女が執念深いとかそういうことを言っているわけではないので悪しからず。そして、これまでもらったふりかけの中から1位を決めたいと思っている。F-1グランプリ。まだ決めかねています。大森屋のセンスや、くらこんの優しさにグラついてきました。

さぁ、みなさまも素敵なふりかけライフを。