お地蔵さま / by co cayu

最近、歯医者さんに通っています。歯に不具合があって通い始めたわけではないんですけど、もう次で4回目の診察。

きっかけは、ある日たまたま近所の細道をずんずん進んでいたときのこと(なんで細道を進んでいたのかというと、その先に猫なんかがいればいいなと思って)。すると突き当たりが駐車場になっていて、その一角に小さな祠を見つけたんでございます。覗いてみると祠の中にはなにやら石像と古ぼけた花瓶だけ。石像は右腕が削られており、弘法大師像なのか地蔵菩薩像なのかいまいち分からない。ただとっさに、「み、見つけたからにはお世話をしなくてはならない…!」と謎の使命感に駆られました。感情がいちいちドラマチック。どうやらこの駐車場は歯医者さんの敷地のようで、石像への接触も歯医者さんが良しといえば問題ないでしょう。歯医者さんだって、得体の知れない人間ならばいざ知らず、自分の患者さんなら寛容なはず。じゃあ、患者さんになればいいじゃない!と慌てて家に保険証を取りに行きました。

問診票には「特に気になるところはないが、虫歯などがあれば治療したい」と記入。待合室に流れるオルゴールの音楽で気持ちを落ち着けます。なんて言おう、わたくしお地蔵さんのお世話を専門にしている者でして、とか?なにそいつ…。そこから1時間ほど待たされ、「今これ何の時間なんやろか…」と不安に。人生に潜む【謎時間】が人より多いであろうことに気がついたあたりで診察室に呼ばれ、先生が口の中を丁寧に…「あ、虫歯ありますね」。

思いがけずギュルンギュルンに歯を削られ、口の内側をやたらバキュームで吸われぐったり。「次は木曜日に来てくださいね」と診察終了の合図、今だ!

「すいません…駐車場にある祠のお地蔵さん?なんですけど」

「?…あ、ありますね」

「近所に住んでいて、よかったら花をお供えしたりしてもいいですか」

「え?ち、ちょっと院長先生に聞きますね、先生〜」そして院長先生登場。

「はいはい、ありがとうございます?お地蔵さん?でもあれ何も入ってないと思いますよ(笑)」

「いえ、ちょっと気になって!家もすぐそこで。いつも花を買うのでついでに」

「はぁ、すみません、どうぞお願いします(笑)」


わーーー!冷や汗かいた〜…おい!語尾にいちいち「(笑)」つけやがって…こっちはこの許可のためにお宅で治療開始したんですがね…まぁいい、虎穴に入って虎子を得た。目的達成。改めて祠を見に行き、石仏をまじまじと見ると左手に宝珠らしきものを持っているような。あ、お地蔵さまか…弘法大師がよかっ▲#%◎。そのあと行者の師匠にお地蔵さまの写真を送ったところ、きちんと御魂は入っておられるものの眠ってたようです。放置されすぎて寝てた〜!起こして差し上げるからきちんとお世話するように、とのこと。あい!毎日のお世話、喜んで!


※人が手を加えなくなった石仏などの類は無闇に触らないほうがよいともされます、お世話される前にその地域の人や管理されているお寺の方などに相談してみてください。南無!

よだれかけつくりました

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