足りない画材を買い足すために街へ出た。 アクリル絵の具を幾つかと、曼荼羅用の筆ペン。いつになっても画材を買うのはドキドキする。それは少し背伸びをして宝石や時計を買うときの気持ちに近いんじゃないかと思ったりする。うまくフィットしてくれるだろうか、わたしの絵を魅力的に変身させてくれるだろうか、なんてまるでパーティーに出かける前かのような。
今日から、弘法大師を描く。念願。作品を描き上げる毎に、わたしは生まれ変わりたい。愚かな自分を何度でも赦してあげよう。一生懸命生きた証拠だから。
まっすぐ家に帰るのがもったいなくて、コーヒースタンドに入る。ブレンド一杯、ターナー社のアクリル絵の具と同じ値段。
きちんと自分自身を唸らせる絵が描けたなら、航空券の予約をしようと決めている。今月で派遣のバイトも終わり。まぁ何とかなる。絵を描こう。すすめ、すすめ
南無
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