やれやれ 。きみは僕と暮らして何年になるんだ?このケーキには、アーモンドスライスが乗っている。完璧なアーモンドスライスだ。それも何枚もね。きみにケーキを買ってきてくれと頼んだのは僕だ、それは認める。それで、この結果だ。ねぇ、今の僕の気持ち分かるかい?
知らなかったのよ、あなたがそんなに 苦手だったなんて。それにこのケーキが一番美味しそうだったんだもの。いいわよ、よけておいて。わたしが食べるから。
じゃあきみは、なぜアーモンドスライスがトッピングとして多用されているんだろうって考えたことはある? ケーキだけじゃない、マドレーヌやクロワッサンにも乗っているんだ。アーモンドスライスを固めたお菓子だってある。
フロランタン、っていうのよ。
フロランタン。
アーモンドスライスだって食べてみればアーモンドじゃない。スライスされただけで、アーモンドよ。味も何ひとつ変わらない。そんなに怖がらなくていいの。この世界には本当に悪いものなんてないんだから。ねぇ、コーヒーにミルクは淹れるの?
※オーダーしたケーキに苦手なアーモンドスライスが乗っていてショックを受けているわたしの脳内で 、村上春樹的カップル が会話を繰り広げています。いつものカフェにて。
南無