面接(前編) / by co cayu

 派遣切りのショックのあまり、一日だけの恵方巻き工場のバイトに応募して、巻き寿司の花形・タマゴ担当に抜擢されて終日楽しく勤務したことは記憶に新しい。

 

だが実は恵方巻き作りのバイトの他にも、ご乱心状態の時に応募したとある求人があった。正気に戻ったあと、すぐ面接を辞退する旨の電話をかけたのだが繋がらず、途方に暮れていたのである。

連絡がつかないからといってバックレるのは我が信条に反する。迷いに迷った挙句、仕方がないので面接に向かうことにした(行くんかい)。履歴書を書いて証明写真を貼り、それらしき志望動機を書いた。能動的に選ぶだけが人生ではない、受かったら謹んでお受けしよう。まぁ、無職だし。

 

 スーツに身を包み、10分前には指定された面接会場へ到着。貸し会議室でまさかの集団面接だった。これはまずい…

なにがまずいのか。わたしの履歴書というのは混沌を極めている。その混沌をイザナギとイザナミが矛でかき混ぜたあと、落ちた雫が積もって淡路島に…ってそれは古事記。じゃなくてその、めちゃくちゃな履歴書を見た面接官が集団面接にも関わらず、わたしにばかり質問するということが過去にあった。しかも半笑いで。

呆気にとられた他の応募者の方はというと、途中から「わたしもアピールしなくては」とかなり前のめりになるので、我が我がとIPPON!状態。わたしだって面接官を笑わせに来ているわけではない。

京都にある有名寺院の売店の面接では、「これまでの職歴は?」と聞かれ、わたしが答えるのを聞いた面接担当のお坊さんが、笑いを堪え続けていた。ついには「なんで教員免許取ったの(笑)」と言われてしまうなど。そんなの、わたしにも分からない。

 

 

 「面接にお越しの方、お入りください」 と声がかかった。 ええい、ままよ!

会釈をし、面接会場に足を踏み入れた。 

 

 

続く