ある「美人過ぎる」絵師が、盗作疑惑で吊るし上げられているニュースを見た。
銭湯絵師見習い・モデル・東京藝術大学院生。彼女の肩書きはなんとも華々しいもので、大企業のイベントでライブペインターに抜擢されるぐらいには注目を浴び、広告代理店をはじめとする周りの大人達がこぞって推していたことは想像に容易い。
だが、まさにそのライブペインティングでの作品が盗作ではないかと指摘されてから、次々と過去の作品や発言が掘り起こされ、ネット上でひとつひとつ丁寧に比較、検証されていくこととなった。
そうなると外野も大いに加勢し、批判的なコメントがどんどん書き込まれていく。悲しいかな、これこそ今の日本でよく見られる光景である。
確かに、並べられた作品を見ると彼女を擁護するのは難しい。疑惑の作品数も一つや二つじゃない。この騒動を経て、彼女が今後「絵師」として活動するのは困難であろう。
ただ、散々もてはやした挙句、問題があれば手のひらを返したように徹底的に叩くのは見ていて気分のいいものではない。
わたしも雑誌や写真集を見ながら人物のイラストを描くことがある。それらを販売することはないが、常に引用元を明記しているわけでもない。「オマージュです」などとひと言添えることもしてこなかったし、絵を描くときに似た構図や色合いの作品がないかを事前に調べるようなことも特にしなかった。「今こういうのが描きたい」という思いに尽きる。でもそうなると、著作権侵害と指摘されても仕方ないらしい。お願いだから、絵ぐらい自由に描かせてはくれまいか。
ある知人アーティストの話で、SNSに載せた自分の作品に対して「別の人の作品に似ている」という指摘があったそうだ。本人にとっては創作作品だったが、結局削除することにしたらしい。
この出来事を聞いただけでも相当モヤっとする。自分の意思と関係なくリングに上げられてしまうこの感じ。いつからわたしたちは、白黒つくまで追い回されるようになったんだろう。そして裁く側は大体匿名。正義って何だ。そこに愛と想像力はあるか。ジャッジを申し出るあなたは、一体誰なんだ。
余談だが、ネパールではわたしのキャラクターがプリントされたメモ帳が売られている。この国においてはもう、好きにすればいいと思っています。まあ、面白いし。
人に優しく。
ネパールより愛を込めて