弔紅 / by co cayu

 いま住んでいるエリアは、かつて赤線だったと聞いた。わたしの番地からは離れているにせよ、言われてみればあの辺り、という雰囲気が多少残っている。

高杉晋作も遊んだとかなんとか、西日本有数の花街だったらしい。

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 借金の肩代わりとして身売りされることが罷り通った時代に生まれ、遊郭の中で生きてゆかねばならなかった女たちのことを描いた映画がある。その中で「生きるも地獄、死ぬも地獄」というセリフがあったが、まさしくその通りだったのだろう。

「紅をさす」のは、古代魔除けの意味があったようだが、遊女が爪や耳たぶにまで紅をさすのは、色気を醸すためであった。それを聞き少し悲しくなる。

  赤線が廃止されて「平和な時代」になったあとも、人間の「欲」は存在し続け、それに付随する「仕事」がそこにある。人間の数だけ人生があって、欲の形があって、それぞれの今日を生きている。

 

 好きでもない異性にボディタッチをされると「一発殴っていいかな?」と思うわたしの場合、いざとなれば遊女になるより出家したほうがよさそうである。遊女か僧か、適材適所。

 

(※画像はウェブサイトより)