なに教 / by co cayu

病室のベッドの上に、大好きな弘法大師の御影が飾ってある。四国に住む、わたしの恩人ともいえる方が送ってくださったものだ。見るたび、凛々しいお大師さまの表情に惚れ惚れする。(※小粥は弘法大師に片想い絶賛14年目)

そのお大師さま、入院当初から看護師さんたちにチラチラ見られているのは気づいていた。ある日、採血に来たひとりが「…描かれたんですか?」と溜め気味に聞いてきたので、ナースステーションで何らかの話題に上がったであろうことを察した。「いえ、頂いたんです」「あ、へえ…」そして会話は終わる。

そして昨日、ある若い看護師が開口一番にこう言った。

「なに教ですか?」

なに教ですか、とは新しい。宗教離れが進むこの日本において、ここまで単刀直入かつパワフルに聞かれることも珍しいものだ。(オウム真理教以降の日本のカルト教団隆盛期を知らない世代ゆえ宗教そのものにネガティブな先入観がない、というのもあるかも)

彼女が言わんとすることはおそらく、「あなたがベッドの上に飾っているお坊さんの絵から察するに何かしらの信仰がおありと見たが、それは何という宗教ですか」ということなのだろう。さらに言うなれば「仏教」であることはある程度推測がついているため、特定の宗派を答えるのが相応しいと言えよう。だが口に出す前にこちらもやや戸惑う。わたしは弘法大師も四国遍路も大日如来も好きだが、生まれながらに浄土真宗の家で育ってきた。そしてややこしいことに古事記も大好きで、猿田彦と天宇受売命においては毎年必ず詣でる社がある。なに教ですかと聞かれるとうむむ…

考えあぐねて、

「仏教全般好きですが、特にこのお坊さんが好きです」

と答えてみた。すると彼女は

「あ、じゃあなに教ってわけじゃないんですね」

と言う。

んむむ…いや、なに教っちゃあなに教なんだけど。なんていうかその。仏教ベースの神仏習合。まあいいや、。

※ちなみにお大師さまを「お坊さん」と言ってしまった自分には思わず往復ビンタした。南無大師遍照金剛!

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