shima / by co cayu

入院中から肌身離さず持ち歩いている御守りがあって、そのうちのひとつの小さな木彫りの弘法大師が、ポケットの中で嘘みたいに真っ二つに折れてました。それでなんとなく、ああ、身代わりのお役目を全うしてくださった、と思ったのです、わたしが描いていた大日如来の完成を見届けて。

目まぐるしい細胞分裂を証明するかのように、髪が生えてきて、眉毛も、まつ毛もそこにある。そんななか、爪甲にはっきりと刻まれた抗ガン剤のあと。奇妙な縞縞を残している。かの人、かにかくに、うつくしきを探し当てん◎

生きよ。はい。

photo by Katsumi Kawashima https://www.katsumikawashima.com/

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