UNAGI / by co cayu

久しぶりに実家に帰った。何気なく冷凍庫を開け、思わず「ヒッ…」と声を漏らす。そこにはパックに整然と詰め込まれた鰻の蒲焼きがあり、さらに下の引き出しにも同様のパックが見えた。なんだこれは。ありあまる鰻が冷凍庫を圧迫している。一体誰がこんなことを…ッ!

そうだろうなと思ってはいたが、やはり菩薩97(ぼさつナインティセブン)のしわざであった。

鰻菩薩は齢97にして一人暮らしの上、自炊もする。年金を管理するのは『永遠の善財童子』ことうちの母で、生活費を必要な分だけ渡すようにしてはいるのだが、菩薩は時折、生活費を受け取るや否や鰻を買いに走る。鰻屋まで50メートル。その姿、まるで韋駄天。そしてたまに所持金が足りず、善財童子があとから払いに行く。そのたびに「もう鰻は要らないからね」「分かった分かった、もう買わん」というやりとりが行われる。そして生活費が追加で渡され、再び鰻が授けられる。この菩薩、鰻が好きなのではない、あくまでも鰻を振る舞うのが好き。

今夜は鰻巻きになりました。菩薩、ありがとうァァ〜フンフン。