定点観測 / by co cayu

定点観測が生きがいです。ターゲットを見つけたあとは、ずーっと考えてしまうほど頭の中を占領されてしまいます。それでも毎日毎日なにかを観測(観察)したいと思っています。

これまで、料理屋の生簀にいる甘鯛、ネパールの無職っぽいおじさん、国東半島から見る伊予灘、バイト先に落ちていた一粒のむかごなどを観察し続けてきました。自分でもなにが刺さるのか予測できませんが、観察の対象がいるあいだは毎日の楽しみが見つかったような、また義務と責任を背負ったような気持ちになっています。

先日、家の近所の石垣から吊るされた状態になって育ちゆくスイカを見つけました。このまま大きくなれば、重さに耐えきれず蔓が千切れ、スイカは地面に叩きつけられて割れてしまう。スイカの結末を見届けねば──そこでスイッチの入ったわたしは、日に2度そのスイカを見に行きました。

しかし昨晩、「どれどれ」と石垣を見てみるとスイカがどこにもありません。すべて幻だったかのように、地面に落ちた様子もなく、蔓も見当たらない。あまりに突然な今生の別れに立ち尽くしてしまいました。「明日ありと 思う心の あだ桜」…

また心に刺さるなにかを見つけるまで、しばし定点観測はお預けです。