生前のうちに遺影を描かせていただいた方が亡くなった。空に浮かぶ月は満月。
最後にやりとりをしたのは今年の1月9日で、「仕事、あなたは先生が合ってる」という向こうのひと言で終わっていた。絵描きなんかで苦労するな、とよく言っていたのを思い出す。
いつか死ぬということを忘れるな、自分の人生を誤魔化すな。逃げるなよ。唯一無二の、誇らしい人生を。
遺影を描かせていただく。絵描きだからこその命への向き合い方だと思います。
そして悲しみや迷いを隠さないことも表現者の流儀。
あなたの転生を待って、どこかで恩返しをいたします。長らくお疲れ様でした。
安らかに 。