昨日、「今から抗ガン剤を点滴しますね〜」と言われてハッとした。そうだ、わたしは治療中の身である。ここ最近は体調も良く、絵を描いたりコーヒーを飲んだり昼寝をしたり、ストレスなくのびのび過ごしていたのですっかり忘れていた。白血球の数値が低いので公共のスペースには行かないようにしているぐらい。今回の抗ガン剤はアレルギー反応が出やすいようで、心電図をとりつつ30分おきに血圧やら体温やらを入念にチェックするなどなんだか物々しい雰囲気に包まれていたのだけど、ありがたいことに副作用もなく呑気にそばぼうろなど齧りながら過ごした。
色んなことを考えているけど、未来のことはすっかり考えなくなった。入院していると余計に、今日どう生きるかがすべてになる。自分の身体を点検することが仕事になり、細かい変化にもすぐ気づくようになる。細胞にポジティブな言葉をかけ、ふんふん耳を傾ける日々。
ある時から身体中の毛を引っ張っても痛みがなくなった。容易く抜けて呆気ない。毛根死す!そう、これが抗ガン剤なのだなと思う。ちなみに、ウィッグをひとつ買ってある。何を思ったか上西小百合みたいな内巻きボブにした。『10号室のエリカ様』と呼ばれる日も遠くないだろう。ただ、ギャンギャン吠える女は小物だからね。女たるもの静かに微笑む阿修羅であれ◎