ー「病院食に彩りを」「ふりかけに自由を」ー
みなさまのご厚意により全国各地から集まってきたふりかけたち。今夜、ついにその頂点を決める時が来ました。審査員でありこのふりかけグランプリの発起人であるわたくしは、来る日も来る日も米にふりかけをかけ続け、ナースに「塩分取りすぎですね」とふりかけによる身体の浮腫みを指摘されても懲りることなく、この1ヶ月間、誰よりも真剣にふりかけと向き合ってきたと、自負しております。
ふりかけは自由であるべきです。何者によっても弾圧されるべきではありません。ただ近年、白米へのリスペクトを忘れたふりかけが数多く存在していることは非常に嘆かわしい事実です。わたくしも審査をするなかでそのようなふりかけを目にし、胸が苦しくなりました。白米への暴力は決して許されるものではありません。主役はあくまでも白米なのですから。
わたくしが今回グランプリを選ぶにあたって決め手となったのは、味、白米との相性はもとより、ふりかけとしての品格です。ふりかけとしての誇りを持ち、調和を尊び、万人に愛されうるふりかけかどうか。その条件を満たし、日本のふりかけ文化を背負う素晴らしいふりかけに出会えました。
今回、見事グランプリに選ばれたのは…
三島食品「かおり」
最後の最後に登場した彼女にまんまとやられました。地方出身者であり、三島食品の稼ぎ頭である「ゆかり」の陰に隠れた「かおり」こそ、大番狂わせのダークホースだったのです。青じその香り高さを侮るべきではありません。海苔やあられでごまかすことなく、また濃すぎる味付けで主役を脅かすことなく、まっすぐに自分の役割を全うする彼女の佇まいには、聖母のような気高さがありました。小さい頃、ピアノとか習ってたんじゃないかな。彼女にはそんな雰囲気があります。自分のリズムで丁寧に暮らす、そんなことを思い出させてくれる、飾らない緑色のパッケージが印象的でした。
準グランプリは大森屋「味付け海苔ふりかけ」。さすがは大森屋、海苔への圧倒的な自信とこだわりが伺えます。何口食べても味のブレがないところが素晴らしいふりかけです。
特別賞
《ミステリー賞》
タナカ食品「ハンバーグ味ふりかけ」奇妙な食感と味付け。食べるたびになぜか笑いが出る、危険なふりかけでした。
《Who am I 賞》
永谷園 「松茸の味 ふりかけ」もはや違う言語を話すためコミュニケーションが取れず、自分自身もお吸い物なのかふりかけなのかよく分かっていないふりかけでした。
みなさまのおかげで、この大会も非常に盛り上がり(わたしが)、山のようなふりかけとともに抗ガン剤治療の第3クールを無事迎えることができました。心より感謝申し上げます。そして見事グランプリを勝ち取った「かおり」をぜひ一度ご賞味ください。
Have a nice ふりかけ。
《ふりかけグランプリ参加選手一覧》
【丸美屋】のりたま/すきやき/梅ごましお/混ぜ込み若菜【大森屋】緑黄野菜/誘惑ふりかけ牛豚/誘惑ふりかけ海老イカ/味付けのりふりかけ【永谷園】ゆず胡椒/超ふりかけ鶏そぼろ/松茸の味【三島食品】ゆかり/かおり【フタバ】御飯の友/のりごま【タナカ】鰹のたたき丼/ハンバーグ味/旅行の友【浜乙女】無添加海老/無添加ひじき/無添加海藻/韓国風のりふりかけ【くらこん】おばあちゃんのふりかけ【おにぎり本舗】野沢菜【おちゃのこさいさい】京の胡麻ふりかけ黒七味風味(順不同)
