髪を切った。15㎝以上切って、1000人に聞いても1000人が全員「これはショートヘアですね」と答えるぐらい揺るぎないショートヘアになった。元々、ヘアアレンジの引き出しもないので、鎖骨を越えた髪を見てついに「わたしの手には負えない」と匙を投げたのであるが、正直こんなに切るつもりはなかった。
昨日までなかなか踏ん切りがつかずぐるぐる悩んで、人にわざわざ背中を押してもらって、ようやく決心がついた。もう今日!今日切ってもらわんとおしまいだから…(?)と直感のままに選んだのは、歩いて行ける綺麗めのサロン。現れたのは若い男子のスタイリストさん。正直、静かに切ってくれるのであれば老若男女魑魅魍魎なんでもよかった…いや、言い過ぎた。最低でも人間がいいとは思ってる。
「えーと顎下ぐらいの長さで、耳にかけたいと思っていて」わたしの要望に「あーはいはい分かりました」と力強く返してくれる。参考画像も見せるなどする。「オッケーです」オッケーなのね。「じゃあいきます」…おーいおいおい!!ハサミを横にするのこわいんですけど〜!バツンてなるでしょうがーーー予想通り、バツンってなった。完。一刀目の潔さ、剣豪かよ。宮本武蔵でももうちょっと躊躇すると思うよ。さらに顎上ときた。ヘイ、武蔵!!!上じゃないよ下だよ!!げらげら。そう、この時点でわたしは悟ったのです。この世の全ては「空(KUU)」で、執着している髪の毛もまた無常。なにひとつ実態がない、執着は苦しみの種…そうだよね、仏教学んでて良かった〜!じゃないよ。黙って見てたらどんどん「モダンガールのコスプレしてるときの椎名林檎」みたいなエッジの効いた感じになっていくじゃありませんかい。あれは林檎姐さんだから似合うんだよ。カリソメ乙女爆誕しちゃうじゃない。
結局ずっとハサミが縦になる様子がないスタイリストさんに見かねて「あ、ここをもっと軽くしてもらって」「バツッてなってるのをシュッとしてもらって」「ちょっとだけ前下がりに」「ここは残していただいて」と怒涛の指示出し。なんとか好みの形に着地した頃には完全無欠のショートヘアになってました。まぁ、一晩経ったらもう見慣れちゃった。ありがとうね剣豪!